top of page

ジブンゴト大学#4-4 レポート「当たり前を問い直す」

Katsuya Ochiai

2022年8月7日

第4期4回目 「当たり前を問い直す」の参加者レポート

ジブンゴト大学第4期 第4回 金子大輔さん (2022.8.3)

テーマ:「当たり前を問い直す〜環境問題、食糧危機、土の問題をメタ視点で語り合おう〜」

本日のモデレーター、イーさんこと泉一也さんが、いつどのように金子さんと出会ったのか、なぜ金子さんに引き込まれたのか、今回ジブンゴト大学にお呼びすることにつながる、きっかけ話の紹介で、はじまり、はじまり。


■金子さんによる自己紹介

今は株式会社タネノチカラ代表取締役。
淡路島で共創循環型ファームビレッジ Seedbedを運営している。
無肥料、水やりなし、で野菜を育てている。

皆さん、「それで野菜が育つの?」と疑問を持つが、雑草に肥料や水やりはしていませんよね?それなのに雑草は育つ。だったら野菜は? そういった問いや、みんなで作って、みんなで食べる、体感、実感を得る場を提供している。小、中、高、大学、そして企業のSDGs研修に利用してもらっている。

中学生の時、いじめを含むいろんな事があり、人の役に立たない自分は生きていても仕方がないのでは?と思いだし、「死にたい」とずっと思っていた。でも死なない自分がいて、「何故死なないんだろう?ひょっとして、自分は生きたいのでは?」「では、生きる意味とは?」といったことを考えるようになる。そうすると、とことん考えるクセがつき、そこから「両義的思考」が始まった。

自分は人と人との”間”のコミュニケーションを取るのが好き? それには、余裕がないとだめ。
働く環境を整える仕事に興味を持ち、パソナに入社。

いまは地球規模でも、日本でも、働き方でも、あらゆる意味でターニングポイントに来ていると思う。
「働く」、「生きる」を問い直す時代。
「食と健康」がキーワードだと思い、いろんな人達と会ったが、「オーガニック」と声高に言う人達は「面白くない」。自然と距離を置くようになった。

皆で体験をし、それを共有する過程こそが大事なのでは、と思い、パソナ代表の南部さんに直訴、投資を了解してもらい、共創循環型ファームビレッジを造り、今に至る。

イーサン:「いまを生きたい」というエネルギーはどこから来る?
金子さん:TEDでも話した、「イトマ」がキーワード。「イ」は意識、意思、意味。「マ」は空間、時間、仲間。
https://www.youtube.com/watch?v=BX1IjU6_tSI


■第一セッション 「環境」

「今、地球は大変なことになっている。気候変動がこのまま続けば、そのうち人類は地球に住めなくなる」という人達がいる一方で、
「CO2で地球温暖化は間違い。プラスチックバッグが環境に悪いなんていうのも大ウソ」という人達もいる。どちらが正しいの? どちらの言い分も正しそう。そうなると、思考停止してしまう。そこに「溝が出来る」。

問い:太陽光パネルは、再生可能エネルギーなので地球に優しいのか? 
そんなことはない。まず、設置するのに、①コンクリートで固めるか、②除草剤をまく、というのが普通。どちらにしても、土の保水力を減らし、砂にしてしまう。つまり、生態系を壊し、自然災害を引き起こしてしまう。

問い:サステナブルって何だろう?
"Deep timetable walk"という考え方がある。地球が出来て46億年。これを4.6kmの距離に例えてみる。恐竜の誕生は、なんとラスト250m。ホモサピエンスの誕生は、ラスト20cm。人生100年というが、距離にしたらわずか0.1mm。(紙1枚の薄さ)
このような時間軸で、地球に対してのサステナビリティって、考えたことがありますか? そして、考えたとしたら、いままでと感じ方、見え方が変わりませんか?


■第二セッション 「すべてがつながっている」

物事の本質を考えてみたい。「よく生きる」ということについて思いを巡らせたら、食べる、着る、住む、働くが必要。さらに基本の「食べる」について考えると、植物、動物、微生物、砂・泥。
あ、そこには「土」があるな、ということに気づく。
人生100年と言うが、いまのままだと、土が60年でなくなるという。つまり「砂化」してしまう、という話がある。今の我々は何をしたらいい?

つながりを考えるための問い
① 世界のお金持ち何名が、世界の資産を有しているか?
2017年の統計では、8名の資産家で、下位36億人の合計と同じだけの資産を持っている

② 日本の本当の食糧自給率は?
カロリーベースで37%というが、そのうちの98%は慣行農法で作られている。慣行農法には農薬と化学肥料が必要。それらの100%は輸入品。つまりは???

③農業の生産性を上げようとすると?
循環と多様性がなくなり、自然破壊、自然災害につながる。


■ここでブレークアウトルーム (部屋ごとの話のシェア)
・最近肥料の価格がめちゃくちゃ値上がりしていて、このままでは離農する農家が増える
・「自分たちの幸せって何?生きる意味とは?」といったことを考えさせられた。
・すべては「土」、というキーワードは気づかなかった。
・ピンチはチャンス。崖っぷちに立たされた人類は、ここで一踏ん張りして進化するのでは
・金子さんに本を書いて欲しい。二つの説の間で迷ったら、「自分で体験して、気持ちのいい方に進む」、という姿勢は、カッコいい!


■最後のセッション
目的と目標は違う。SDGsはすべて目標。では目的は? SDGsがなくなっている世界を作ることでは?
「私が変わっても世界は変わらない」「私にしか変えられない世界がある」

どちらが正しいでしょう?
見たい世界は、実感、体感してみるのが一番。動いて、両方経験してみるのがよいのでは。


■放課後セッション(おまけ)
Q. 何故パソナという大企業に身を置いているのか?独立してもよいのでは?
A.タネノチカラという、耕作放棄地を使った教育、学びの場の活動を公とすると、イトマプロジェクトでは地方を巡って、自分の成長を目指している。この二つのバランスを取っているので、いまはこれで行きたいと考えている。

*編集後記
金子さんは、ご自分でも言っていたが「理屈っぽい」人。それは言い方を変えると、常に「なぜ?」を考え、一つの解を簡単には信用せず、「本当は違う答えがあるのでは?」と徹底的に調べるタイプ。つまり、簡単には思考停止をしない。まずここに感心する。
そして、どの説も正しそう、となると、自ら体験/実感し、「気持ちがいい」方を選ぶ、 つまりは人間としての「五感のチカラ」を信じるという、実にプラクティカルでいさぎよい姿勢。さらに、それを自分一人ではなく、みんなでやって感じよう、と「ひとりよがり」を防ぐ仕組みも考えている。感服いたしました!
(ジブンゴト大学スタッフ:おっち~)

bottom of page